story絵本『ドクターバク』ってどんな物語?
絵本『ドクターバク』ってどんな物語?
ドクターバクは、お医者さんと言っても、お薬を出したり、手術をしたりといった一般的なお医者さんが行う治療はしません。
その代わり、ドクターバクは、街のみんなの心にできたクラヤ実(苦しみや悲しみ)を食べることができます。
そのおかげで、嫌なことがあって落ち込んでいた街のみんなも、嘘のように元気になって家に帰っていきます。
だからこそ、この街に住む動物たちは、何か辛いことがあるたびにこのお医者さんを頼るのでした。
しかし、しばらくして街に異変が起き始めます。
ドクターバクが元気にしたはずなのに病院の行列は減っていくどころか、どんどん伸びていったのです!
それにほんの些細なことでも街のみんなはドクターバクを頼るようになってしまいました。
ドクターバクは、この状況の原因究明にあたります。
ただ、その理由が簡単には見つかることはなく、とうとう街の住民がひとり、クラヤ実に完全に食べられてしまうのでした。
大切な仲間をとんでもない状況に追い込んでしまった悲しみ。
そして、救えなかった悔しさで、ドクターバクまでもが、クラヤ実の世界へと飲み込まれてしまいます。
ただし、その世界でドクターバクは
「クラヤ実の真実」
を知ることになるのでした。
そして、ドクターバクはこれまでのまちがいに気づくのです。
「大事なのは、
クラヤ実を食べてあげることじゃない。
街のみんなの力を信じて、
ずっとそばにいてあげることだ」と。
こうしてドクターバクは、ひとつの覚悟を決めるのでした。
「どんなときも、
僕がみんなのそばにいる!」
これは決して、街のみんなを
「苦しませない」
という意味ではありません。
ドクターバクはどんなに苦しいことがあっても、ただただそばを離れないと、そう胸に誓ったのです。